アコーディオンレッスン第8回目です。
「左腕をいかに大きく自然に動かすか」をテーマにして、そのための準備編「座り方と楽器の位置」、身体編「左腕のベストポジション」をお伝えしてきました。

この二つにきっちりと取り組めば、左腕は自然に動く…はずですが、やはり演奏時には取り組むことが他にも沢山あるので、左腕の動きだけに集中するのは難しいですよね。

このテーマのレッスン最終回は、実践編として実際の演奏時に起きやすい「弾きづらさ」の例を挙げていきたいと思います。
きっとどれかひとつには当てはまるんじゃないかな?と思いますので、演奏中に弾きづらさを感じたら、ぜひ参考にしてみてください。

(今回の動画は、15分19秒)

弾きづらいと感じる時に起きていること、今回は4つの例を紹介します。

1.左脇の締めすぎ

蛇腹を開ける時も閉める時も、ずっと左脇が閉まっている状態です。
力仕事が苦手な方、普段からいつも身体が緊張しがちな方に多い気がします。

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脇の締めすぎで起こる現象は、

1.蛇腹が大きく広げられない(大きな音が出ない)
2.力が出ない
3.身体が後傾する(1からの影響)
4.指が固まる

身体が後傾するのは、蛇腹をもう少し開けたいのに(脇を締めているために)開けられなくて、身体を後ろに倒して蛇腹を開けようとするところから発生します。かなり多くの方に起きる現象です。

脇にグッと力を入れて締めてしまっている自覚がある方なら、辛抱強く取り組めば改善すると思いますが、自覚のない方(ほとんどの方?)は一度ワザと脇を締めてみてください。
そしてふっと力を抜く。(だらっとするのとは違いますので注意!)
そのふっと力が抜けた状態を覚えておくと、自分の左脇の緊張に気づけるようになると思います。まずは、そこから取り組んでみてくださいね。

2.左肘が先行して動く

腕を動かすんだ!と思って、肘から先に動いてしまう方も結構いらっしゃいます。左脇を締めすぎていた人が、緩めなきゃ!と思って肘が先行する場合も多いかな。

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この場合は、

1.ベースバンドに力が効率よく伝わらない(大きな音が出しにくい)
2.蛇腹を閉じるときに「手」だけを使いがち(指が固まる、大きな音が出ない)

こういった影響があります。1の左脇を締めすぎている場合に比べれば、腕の動く範囲は広いですが、閉じる時に手だけを使いがちになるので、こちらも注意が必要ですね。

楽器と腕が接する場所はとても大事!

2例目の場合、楽器と腕が離れます。具体的には、上腕の内側と楽器の角の部分です。ここは、どんな時にでも触れている状態が正解。
ベースバンドに力を伝えるためにも、蛇腹を閉じる時に腕〜肩の筋肉が使えるようになるためにも、必ずつけておいてくださいね!

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蛇腹の動きに注目する

1例目と2例目は、どちらかを改善しようとする時にもう一方の動きになりやすいです。ですので、蛇腹の形に注目して取り組んでみることをお勧めします。

1例目の場合、蛇腹は開いた瞬間から自分の方へ曲がってきます。

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2例目は逆に、身体から離れていきます。

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そのどちらでもない動きができるように練習してみましょう。
蛇腹の開き始めは真っ直ぐ進んで、開けば開くほど腕の動きに従って身体側に曲がってきます。

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目で見て確認できますので、ぜひ活用してみてください。

3. 左肩が下がる

3例目は私もよくやってしまう動きです。
左手で遠いボタンを弾く場合によく起きますね。
左ベルトが演奏中にズレてきそうになる方は、ほぼ確実に左肩を下げてしまっています。

これは、肘の曲げ伸ばしを忘れていてやってしまう動きです。
遠くのものに手を届かそうとした時には肘を伸ばすはずなのですが、なぜかアコーディオン演奏中には、その動きを忘れてしまいがち。
一度、肘の曲げ伸ばしをして動きを思い出し、肩を下げる動きとの違いを確認してましょう。
そんなことしなくても分かるでしょう!と思いますか?
でも演奏中は、こういった勘違いはよく起きています。

そして遠くのボタンを弾かなきゃいけない時だけ、「肩の高さは変えずに肘、肘!」と思いながら練習することです。ずっと肩の高さのことを考えながら練習はできませんので、遠いボタンを弾く時だけで大丈夫ですよ。

4. 左肩が上がる

4例目は逆に肩が上がる、です。
最初に考えられる原因としては、ベルトが長すぎることですね。本当に適切な長さかどうか見直してみましょう。

そして、日常から身体がいつも緊張気味の方も肩が上がります。
肩が上がると楽器を持ち上げることになって身体への負担が大きいですし、左脇も締まりがちなので、1〜3例目に比べて弾きづらさをより感じてらっしゃるのではないでしょうか。
この場合も3例目の時のように肩が上がる場所を見つけたら、その時だけ気を付けて練習するのがいいと思います。
普段から肩が上がりがちの方は、ストレッチも有効ですね。

演奏フォームを練習する時間を取り入れる

弾きづらさを生む動きとして4つの例をご紹介しました。
改善するには、演奏フォームを変えなければいけませんが、曲の練習をしながら演奏フォームを変えるのは、とても難しいです。
ですので、1回の練習に「曲の練習をする時間」「演奏フォームを練習する時間」と中身の違う練習時間を設けてみましょう。
ポイントは、その時取り組んでいる練習以外のミスは気にしないことです。
曲の練習をする時には、フォームのことは考えない。
フォームの練習をする時には、音ミスなどは気にしない。

ちょっと難しいですが、うまく切り替えて中身の違う練習をしていくと、どちらも両立して取り組んでいけると思います。

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