アコーディオンレッスン第4回目です。
今回は、いちばん癖がつきやすいと言っても過言ではない左腕・左手の使い方についてです。具体的には、楽器に対する手・腕の角度のことなのですが、一度癖づいてしまうと、修正がかなり大変なんです。
なぜならこの手と腕の角度は、蛇腹の開閉、ボタンを押さえる角度、ボタンの距離感などほぼ全ての左手のテクニックに関わっているので、修正しようとすると「新しい蛇腹の開閉感覚・新しいボタンの角度・新しいボタンの距離感」を学び直さないといけないからです。
ですので、この記事を読んでいる初心者の方は、今からしっかり弾きやすい角度を手に入れること、すでに癖づいてしまっている方はかなり本腰を入れて取り組むことをオススメします。
それだけ重要な内容ですので、動画が長くなってしまいました…
約18分あります。(YouTubeアプリでご覧いただくと、概要欄にタイムスタンプを記載していますので、気になる内容の部分を抜き出してご覧いただけます。)
※椅子のギシギシ音が耳障りかもしれません。申し訳ないです!

いつものように文章でも少しだけ動画内容を記していきたいと思います。
動画の内容すべては文字にできませんので、ポイントになることだけ…

親指の付け根の使用から起きる問題

いちばん問題になるのが「親指の付け根」です。手の平側の膨らんだ部分。
ここはとても使いやすいので、蛇腹を押すのにも、ボタンを弾いている指を支えるのにも、ついつい使ってしまいます。
ただこの親指の付け根を多用するのは、さまざまな問題が起きるのでオススメしません。

例えば、
1. 蛇腹を開けながら上に移動する
2. 7thやディミニッシュなど指を広げる動作
3. 大きな音量で速く弾く
が難しくなります。(他にもさまざまに影響します。)

まず1の問題ですが、これは親指の付け根で指を支えながら演奏していると起きる問題です。付け根を楽器の側面に押し付けて、他の指を動かしていませんか?
たしかに支えがないと指が安定しないのですが、親指を支えに使ってしまうと、特に上に移動したい時に親指がブレーキになって動かせなくなるんです。

2の問題は、親指の付け根が常に楽器側面についていると手首の位置が上がってしまうことから起きます。
前回のレッスンで斜めラインのつかみ方を解説しましたが、左ボタンは大体時計の針で言うと2時ぐらいの角度に並んでいます。この斜めのラインに無理なく指がのるとスムーズに演奏できるのですが、親指が当たっていると1時ぐらいにの角度になってしまいます。
手首が手に対して上にある状態になるんですね。そうするとメジャーやマイナーは弾けますが、7thやディミニッシュのように外側のボタンは角度が狭い分とても弾きづらくなるんです。

3の場合は、蛇腹の開け閉めに手が参加してしまうことから起きる問題です。
蛇腹の開閉は腕の仕事です。手指はボタンを押すのが仕事です。しかし親指の付け根を押し当てていると、蛇腹を閉じる時にその部分だけに力が加わり手で蛇腹を押すことなります。手指に仕事をさせすぎてしまうんですね。力仕事と速い動きを同時に行うのが難しいことは想像がつくと思いますが、まさにその状態です。

親指主導の動きの危険性

親指主導の動きは、危険なこともあります。
人の手のニュートラルな状態(リラックスした状態)は、小指側が腕と真っ直ぐのラインをつくっています。しかし親指主導で動くと親指側がまっすぐになりやすいんですね。こういう手の使い方をすると筋を痛めたり腱鞘炎になりやすいです。
指の動かせるスピードもかなり違うので、ぜひ比べてみてください。

小指側が真っ直ぐな状態で指を速く動かす

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親指側が真っ直ぐな状態で指を速く動かす

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どうですか? 親指側が真っ直ぐだと指が強張りませんか?

小指側を使おう!

さて親指の付け根を多用すると色々問題がおきるので、指の支えや蛇腹の開閉には小指側を使いましょう。
まず蛇腹を開ける時は、手のひらの小指側から腕の内側を軽く楽器の側面に当てておきます。手首にかかっているベースバンドに手の重さを全て預けてしまうようにしてベースバンドを手首の甲側で押しましょう。手を預けるようにすると、まず親指は楽器側面に当たりません。手首のあたりに少し空間ができると思います。手をベルトに預けることに慣れないうちは、なんとなく宙に浮いたような気がするかもしれません。でも、思い切って手を預ければ預けるほど指は安定して動きます。
蛇腹を閉じる時は、最初に側面に当てた手のひらの小指側から腕の内側全てを使って楽器の側面を押します。

手首の位置が手よりも上にあると、小指側を楽器の側面につけることができません。どうしても小指側が当たらないという方は、手首・肘の位置を見直してみてください。

楽器を下から抱くように

楽器を持つ時は、下から抱くようにしてあげると肩や腕が良い位置にきます。
肩が内に巻いていたり、緊張していたりすると覆いかぶさるような角度で楽器を持ってしまうので、いつも下から抱きかかえるイメージを持ってみてください。

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形から入ろう!

スムーズに演奏できる形というものがあります。まず形から入るというのもひとつの手ですので、肩・腕・手首・手指の全体の形を真似てみましょう。
もちろん自分の形を動画や写真で記録して、お手本と比べるのが肝心ですよ!

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長文になりました…最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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