最近、4スタンス理論の本を読んでおります。

10年ほど前に大注目された理論ですが、私にとっては今がタイムリーな視点でした。
最近は、楽器を左腿の上に乗せることが安定した演奏に欠かせないと思っているのですが、この「左腿にのせる」ができない人が一定数います。それが私にはずっと謎で、4スタンス理論がその謎を解き明かす鍵になればいいなと思い読み始めました。
4スタンス理論とは、「人には4種類の身体特性がある」というもので、「左腿に楽器をのせられない人」と私とでは、おそらく使いやすい身体の部位や動きやすい方向といったタイプが違うのだろうと思ったのです。

まだ自分の中で消化中なので、理論を活用するところまでは辿り着けていないのですが、ある生徒のレッスン中に「座り方を変えてみよう!」というアイデアが生まれたのは、おそらく4スタンス理論の影響だと思います。

さて、本題。
私の生徒の中で、左腿にどうしても楽器がのせられず、かつ演奏中に右肩を使いすぎてしまう生徒を中心に『ある座り方』を試してもらいました。
生徒の許可をもらって、お二人の例を紹介します。

とても真面目に姿勢に取り組んでくださるUさん。
かなり左腿に楽器をのせられるようにはなってきましたが、どうしても後傾して楽器を持ち上げてしまったり、身体が固まりがちです。楽器もぐらつきます。
この日は、特に左腕がとても不安定な感じだったそうです。

こちらが座り方を変えてもらったバージョン。
まず椅子に対して、右斜めに座ってもらってから、上半身を左足の方(正面)に向けます。
斜めに座って、上半身は正面です。

こうすると不思議なことに、左腿に楽器がのりやすくなるんですね。そして右胸に楽器が当たって止まりやすくなります。
左腕の不安定な感じも無くなったそうで、蛇腹が開けやすいとのこと。

お二人目は、10人ほどの生徒に試してもらった中で一番変化が大きかったIさん。
いつもの座り方では、どうしても楽器が腿から浮き上がってしまう(持ち上げてしまう)、弾いている間に楽器が膝からずり落ちてきてしまうなどなど、色々と不安定さがありました。ずり落ちてしまうので、肩が頑張ってしまい肩が凝る状態でした。

Uさんと同じように右斜めに座ってもらって、身体を少しひねる形にした後は、「腰は自然と立つし、楽器は足にのって落ちないし、肩は楽だし」(本人談)とのこと!

もともと蛇腹操作にそれほど苦労されていない方で、楽器さえ安定すれば…という状態だったので、これはものすごく嬉しい変化でした!

ちなみに少ないですが、自然と斜めに座っている生徒も数人います。
無意識でしょうが、身体は分かってるんですね。

今日ご紹介したお二人以外の生徒でもそうなのですが、右脚の存在に気づきやすくなるようです。
今まで「演奏中に右脚は何してますか?」と聞いても、「何もしてません」という答えが返ってくることが多かったのですが、「右脚、いま使ってます!!」という人や「右脚がバランスを取るのに使える」という感覚を持てる方が現れたのも嬉しいところ。

ほんの少し座る向きを変えただけなのですが、ここまで効果的だとは私自身もびっくりです。
もちろん、この斜め座りが合わない方もいるので、どういうタイプに合うのか引き続き調査していきたいなと思います。(ちなみに私は正面座りタイプです)