今回の記事は、楽器と身体の平行ライン、続:楽器と身体の平行ラインを基本とした上で書いています。ぜひ過去記事をご一読ください。

今の私のマイブームは、「力の向き」です。
今回は、蛇腹に加える力の向きについて書いていきたいと思います。

まずは、こちらの図を。
これはアコーディオンを真上から見た状態です。

力の向き

・赤い矢印は奏者が加える力、青い矢印はそれに対して作用する力です。(開→右ベルト、閉→左ベルト)
・赤い点線は、左右の肩ベルトの延長ライン。
・赤い矢印の太さが違うのは、楽器との接触面の違いです。開ける時は手首の表側、閉じる時は前腕の内側です。
※力を加える身体の部位が、開閉で変わるので注意ですね。

重要なのが、この赤い矢印の向きです。(奏者が与える力の向き)

開ける・・・右ベルトの延長ラインと平行方向に。
閉じる・・・左ベルトの延長ラインに向かって。(肩と前腕[力点]と延長ラインを線で結ぶと三角形ができるように。)

この方向が蛇腹に一番力が伝わるかなと思っています。
そして楽器が安定します。
多くの方が、開ける時は真横〜斜め後ろ方向に、閉じる時は身体に向かうような向きに力を加えているのではないでしょうか?
でも、その向きが楽器をぐらつかせるんです。(楽器と身体の平行ラインが崩れる。)


[4/10加筆]
楽器と身体を平行にして持って蛇腹を開閉すると、身体のあるポイントで楽器が留まります。そこを見つけてください。
だいたい右胸あたりになると思うのですが、この力の向きは「そのポイントが身体から離れないようにする」向きです。


また注意していただきたいのは、この力の向きは〈ある瞬間〉の向きです。
ちょっとややこしいのですが、「開けようとするその瞬間」、「蛇腹がどんどん閉まってきて、完全に閉じるまでの間(特に閉まる直前)」という短い時間での力の向きです。

ずっとこの方向だと思わないこと!
左腕の動線が不自然になりますので、蛇腹を開ける最初だけ力の向きに気をつけたら、あとは腕が自然に弧を描くように動かしてください。
(この”自然に”が難しいのは、よく承知していますが・・・。)
閉じる時は、蛇腹が閉じていくほど、力は外側へという意識。閉じながら、指は楽器上部へ・・・なんて動きの時には、とても役立ちますよ。


[4/13追記]
やはり上記の絵だけでは分かりづらいと、ご指摘を受けたので動画を撮りました。
腕の自然な弧を描く動きとは、例えば誰かを部屋に招き入れる時の、「どうぞ」と腕を広げるような動きです。